砂漠の便り ⑴

内モンゴルからの便りが届きました。
砂漠の環境と向き合い、環境保全活動に取り組む現場からの声です。


砂漠では、この時期になると毎日40℃近くまで上がります。
そして雨は年間50mmから250mmあまり。
こんなに厳しい気候の中でも、適応して生きている動物がラクダです。
ラクダは世界に1800万頭ほどいると言われています。そのうち1600万頭はヒトコブラクダで、内モンゴルにいるようなフタコブラクダは200万頭あまりと少ないのだそうです。
そのうちの11万頭あまりが、ここ内モンゴルのアラシャン地区にいます。
この地域で暮らすラクダの主食は梭梭(ソウソウ)の葉です。
梭梭の葉を食べることで、厳しい環境を乗り切るエネルギーを蓄えているわけです。
この梭梭という木は、水に沈むほど硬く、「砂漠のマングローブ」と呼ばれています。
そのため、煮炊きをする人間の手で、その多くが切られてきました。
その結果、かつての梭梭林は、乾燥し荒れた土地になってしまいました。
現在は、ここアラシャンの地で、梭梭の植生を元に戻すための植林を行なっています。
ラクダ達にとってその葉が大切な主食であるこの梭梭の木の根には、コウバクニクジュヨウが寄生します。
コウバクニクジュヨウもまた、梭梭からエネルギーをもらっているのです。
そう言いつつも、乾燥が厳しく梭梭が弱った時には、コウバクニクジュヨウに蓄えられた栄養分が梭梭を助けます。
コウバクニクジュヨウは寄生植物であるとはいえ、梭梭との間に共生とも言える関係が成り立っているのは、厳しい環境で生き抜く植物同士の知恵なのかもしれません。
このコウバクニクジュヨウを自然の恵みとして摂取することで、人間も元気になります。
こうして、ラクダも元気になり、人も元気になり、それが地球の元気に繋がる。
人間も植物も自然の一部であり地球と繋がっているのだと、自然の厳しさを目の当たりにし、日々観察する中で感じています。