梅雨と梅

関東も梅雨入りをし、毎年訪れる「夏本番前のすっきりしない時期」となりました。

そもそも、なぜこの時期を「梅雨(つゆ・ばいう)」と呼ぶようになったのでしょうか。

漢字表記「梅雨」の語源には諸説あります。この時期は梅の実が熟す頃であることからという説や、この時期は湿度高く黴(カビ)が生えやすいことから「黴雨(ばいう)」と呼ばれ、カビでは語感が悪いので同じ音の「梅雨」に転じたという説、また「毎」日のように雨が降るから「梅」という字が当てられたなどの説があります。

どの説が正しいか定かではありませんが、この時期が「梅の実」の熟する時期であるのは確かです。

「ウメ」といえば、「梅干し」や「梅ジャム」「梅酒」などを思い浮かべる方も多いと思います。

「ウメ」は抗菌作用や整腸作用、疲労回復や夏バテ防止などにも効果があるとされ、お弁当やおにぎりに防腐の役割も兼ねて梅干しを入れたり、体調を崩した時にはおかゆと梅干しを食べさせたり、乗り物酔いを防ぐために梅を食べさせたりと、古くから私たちの生活の中に取り入れられてきました。

「三毒を断ち、その日の難を逃れる。朝夕一個食べれば医者いらず。」という言葉もあるように、民間生薬として、健康維持や病気予防のために用いられてきたのですね。

「ウメ」にはご存知のように強い酸味があるのが特徴です。梅干しを食べることを想像しただけでも口の中が酸っぱくなるという経験をしたことのある方も多いことでしょう。この酸味のもとは、クエン酸とリンゴ酸です。クエン酸は胃腸の働きをよくし、食欲をすすめ、タンパク質の消化を助け、悪玉腸内細菌の抑制や整腸作用に効果があるとされています。また、疲労回復や老化防止にも役立つとされており、血液の流れをよくする働きもあるので、肩こりや腰痛などの筋肉疲労にもよいとされています。ビタミン類も含んでおり、風邪の時の栄養補給や二日酔いにもよく用いられます。クエン酸もリンゴ酸もカルシウムの吸収を促す効果があり、気分転換やカルシウム不足から来るイライラの抑制にも一役買ってくれます。

保存食としても優秀な「ウメ」を、ぜひ「梅雨」の時期に取り入れたいですね。